第2回特別展 (平成13年8月1日~9月9日開催)
「大洗の魅力をさぐる-
大洗をモチーフとした文学者・画家たち-」 


  

展示内容

 今回の特別展では、「大洗の魅力をさぐる」というテーマで、この土地をこよなく愛した画家・文学者達の作品を紹介し、いろいろな見方を通して新たな「大洗」の魅力をみつけだしていただけたらという思いがこめられました。

 紹介する人物は、私達が調べた限り文学者関係でも約70人みつかっております。こちらのほうは全員紹介することは不可能ですので、以後シリーズ化し大洗の美しさを伝えていくつもりです。

 絵画のほうは、茨城県を代表する画家の鈴木良三[すずき りょうぞう]や神原青羅[かんばら せいら]等、文学は大洗に馴染み深い山村暮鳥[やまむら ぼちょう]、大洗に親友がおりよく遊びにきていた野口雨情[のぐち うじょう]、そして与謝野鉄幹[よさの てっかん]と共に夫婦で大洗を訪れたことのある与謝野晶子[よさの あきこ]を紹介、これらの展示は原稿・遺品・書籍等で紹介しました。

 特に「与謝野晶子」が大洗のうたを大正8年に読んでいることは地元でもよく知られていない事実であり、私としては一番展示でアピールしたかった事です。

 またここまで展示構想を練った時に、展示全体にあまり色がなく変化に乏しいことに気がつき頭を悩ませていたところ、現茨城大学教授である十河雅典[そごう まさのり]氏のタテ2m・ヨコ6mの大洗を舞台とした色の美しい大作、多彩なアクリル絵の具で描かれた現代絵画があるという情報をいただきました。早速資料をみにいき私は一目でこの絵の虜になり、ぜひ展示したいと借用をすぐお願いした程です。しかし、心配だったのは博物館での時代区分や歴史・美術の展示範囲でひっかかるかもしれないという事が頭をよぎりましたが(特に当館は主に幕末・明治期の作品が中心でしたので)、自分の展示に対する考えがしっかりしていれば問題ないと思い切って踏み切りました。結果的には、展示期間中お客様の反応を観察してみましたが、大変好評であり成功だったと思います。

 今回、展示の他に大洗町の協力を得て毎年開催されている「大洗四季フォトコンテスト」の入選作品の展示、町の小学生から中学生までに「海に向かって叫びたい一言」を募集、短冊に自由に絵や言葉をかいてもらい新館エントランスホールに展示しました。子供達の夢や考えはすばらしいものがあります、海の広さに負けない明るい力強い言葉に私自身感動しました。

素晴らしい出会い

 展示期間中、鈴木良三、野口雨情、山村暮鳥のご家族やご親戚、ご友人だった方々がわざわざご来館くださいました。作品や文章でしか測りしれなかった作者の実際のお人柄やウラ話等をお伺いでき、とても楽しい出会いに恵まれました。

 その中でも、鈴木良三作品の一つに大洗の松林の中を母と娘が散策している絵画がありました。《それがじつはご本人のご家族で奥様とお嬢様であったことが、作者のお嬢様ご本人の口から判明いたしました。なんとも微笑ましい作品です。》またご友人の方がおっしゃられていた「一期一会」を大切にという言葉は私の心にとても深く残り、出会いの一瞬を大切にしようと改めて考えさせられました。

《今回の展示でもとてもすばらしい出会いを沢山させていただき思い出深い展示となりました。》