5回特別展 大洗の魅力をさぐるⅡ

拓本が語る ―大洗を愛した人達― を開催して

開催日 平成16918()1121()



 今回の展示は、平成1381日~99日に開催しました『特別展 大洗の魅力をさぐる ―大洗をモチ-フとした文学者・画家たち― 』の第2弾として企画いたしました。今年は大洗町制五十周年にあたり、大洗町・教育委員会・観光協会のご後援を頂きまして、盛大に開催することが出来ました。

 地元大洗町の津村庄一郎さんが採拓され、自ら表装・軸装された拓本を展示しました。町内に点在する20数点の文学碑・名碑を一堂に集め、大洗の略地図上に所在地を示し、建立年代や碑文の内容を簡潔に判り易い解説をつけました。

 
 拓本とは、″石摺り″すなわち木や石に刻んだ文字や、器物に刻まれた文字や文様等に紙を押し当て、上から墨をつけて写し採ったものです。皆さんもコインの上に紙を乗せ、その上から鉛筆でこすって数字や模様を浮かび上がらせる遊びを経験したことがあると思います。拓本の原理も基本はこれと同じですが、拓本の場合は、文字部分が白でその周辺が黒となる点において異なっています。これは、刻まれた文字部分が凹面であるため、そこには墨が付かず紙の色がそのまま残り、周囲の凸面には墨が付いて墨色が紙面に出るからです。

 拓本は、古く中国に始まった東洋独特の複写法でありますが、我が国では江戸期以降より盛んに利用され、第二次世界大戦後には考古学の勃興に伴って、遺物の文様や金石文の記録法として採用されています。こうした歴史を見る限りでは、拓本は中国において文字の美術的価値を後世に残すために、考え出されたひとつの手段であると言えましょう。



津村 庄一郎 
(1925年生まれ・磯浜町在住)

 拓本との出会いから約20年。趣味として各地の碑文・句碑・歌碑などを採択し、現在も生き甲斐のひとつだそうです。今後のご健勝をお祈りします。



展示を終えて


 今回の展示は、どちらかというと拓本という地味な展示でしたが、焦点を地元の大洗町に絞り町内の石碑を新たに見つけて頂こうと考えました。今回展示した拓本は大洗町の全てを網羅したものではありませんが、町の人々でもこの展示で始めて見た拓本もあったとの感想も聞かれました。その意味では、新しい発見により大洗の魅力を探ってもらえたのかなとうれしい想いです。

2004/11/21 拓本教室 2004/11/21 拓本教室 2004/11/12 歴史教室

 「拓本教室-拓本に挑戦してみよう-」は、お客さんとの触れ合いと拓本の採りかたを学んで頂く為に実施致しました。2日間と回数は少なかったのですが、参加者からは大変楽しく拓本を身近なものに感じられたとの感想が寄せられた。特に町の歴史教室の皆様が石碑の現地見学と拓本教室を同時に体験されたことは、これからの拓本展の新しい方向を示すものです。

 また、町内の小学校・中学校の児童生徒の皆さんから「大洗のここが好き」の題で、文字と絵で短冊に書いて貰いました。多数のご協力を頂きまして、掲示する場所が足りなくなるほどでした。見学にも来て頂き、教育長・各学校長・先生方に紙面をお借りして御礼申し上げます。

 最後に、この展示のためにご協力を頂いた津村庄一郎さんに心からお礼を申し上げます。これからも地元大洗のために、良い拓本を採り続けてください。本当に有り難うございました。ご健勝をお祈りします。