趣旨
当館の前身である常陽明治記念館の創立者田中光顕は、自らも幕末の志士でした。天保14(1843)年土佐の佐川に生まれた田中は、武市半平太に剣術を学び、土佐勤王党に連判して、尊王運動に参加します。元治元(1864)年の脱藩後は、中岡慎太郎の下で伊藤博文ら長州藩士らと協力して薩長同盟の周旋に尽力し、中岡の死後は陸援隊を統率するなどしました。また、高杉晋作を尊敬していたことや、坂本龍馬と中岡慎太郎が暗殺された際にはいち早く現場に駆け付けたことでも知られています。維新後は政府の一員として要職を歴任して活躍しました。引退後は勤王の志士たちの顕彰に力を注ぎ、多年にわたり蒐集してきた遺墨や書籍を常陽明治記念館(現:当館)や青山文庫、多摩聖蹟記念館(現:旧多摩聖蹟記念館)、早稲田大学などに寄贈しました。
本展覧会では、特に田中の晩年に焦点をあて、田中と水戸との関係や水戸の有力者との交流、常陽明治記念館の開館とその後の運営を通して幕末の志士の顕彰に尽くした田中光顕を紹介します。
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