七言絶句。唐の李白の詩「客中作」(旅にあたってのうた)を西郷が墨書したものである。「蘭陵の地でできる美酒、鬱金香。玉杯いっぱいに注げば、琥珀の光を放っている。ただこの酒宴の主人が、旅の客たる私を充分に酔わすことさえ出来れば、なに、どこが知らぬ他郷などと思うものか」の意。
西郷隆盛 [さいごう たかもり]1827(文政10)年~1877(明治10)年
幕末維新の政治家、薩摩藩士。通称は吉之助、南州と号す。藩主島津斉彬[しまづ なりあきら]の命により、将軍継嗣に徳川慶喜[よしのぶ]擁立に奔走したが、安政の大獄により挫折。のち禁門(きんもん)の変・第1次長州征伐にて活躍。さらに薩長連合、王政復古、戊辰(ぼしん)戦争を指揮する。維新政府にて参議となり、廃藩置県の断行にあたり、ついで陸軍大将となる。明治6年征韓論(せいかんろん)を主張したが、入れられず下野(げや)し帰郷。政府の挑発と不平士族の暴発により、10年西南(せいなん)戦争をおこし、敗退して城山で自刃(じじん)した。
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